社長のつぶやき⑦

化学物質過敏症」、この言葉を耳にした方は多数いらっしゃるのではないでしょうか? 日本では、厚生労働省が2009年10月1日、病名リストに「化学物質過敏症」を登録、カルテや診療報酬明細書に記載できるようになりました。

化学物質過敏症」とは――非常に微量の薬物や化学物質(主に揮発性有機化合物)の曝露であっても健康被害が引き起こされるとする疾病――つまり、微量の化学物質を含んだ物に触れたりするとアレルギー反応を起こし、呼吸困難になったり、皮膚が痒くなったり等の病状を発症することです。

では、「化学物質」とは? 私たちからすれば、薬であり、食品添加物であり、洗剤、柔軟剤、シャンプー、香水、残留農薬等々、挙げればきりがありません。日常を見渡せば「化学物質」は身近にあふれかえり、「化学物質」にまみれて生きているのが現状です。

この病状の発症は年齢に関係なく個々人の閾値(いきち)によって決まります。発症してしまうと、人によっては化学物質が糊塗された机にも椅子にも近づけなくなり、ビニールも触れなくなるそうです。つまり化学物質であふれかえるこの近代文明社会で普通の生活が送れなくなるケースもあるため、「多種化学物質過敏症」または「本能性環境不耐症」とも呼ばれます。

私たち人類は、医学の父とされる古代ギリシャヒポクラテスが手を付けた薬草の副作用等を改善するために人工的(化学的)に手を加えられたころから新薬の誕生へとつながり、20世紀前半には大きく新薬(化学物質)文明との付き合いが始まったのです。

今日では推計で5万種以上の化学物質が流通しており、特に近年では化学物質を含んだ日常消耗品が爆発的にあふれかえり、まさに人類の脅威ともいえる環境が現出しています。

この問題は多方面にわたって存在し、この紙幅では語り尽くせません。

 今回は問題提起としてお話いたしましたが、今後もまたこの「化学物質過敏症」のお話はさせて頂きたいと思います。

 

化学物質過敏症の症状

化学物質過敏症の症状は多岐にわたり、①粘膜刺激症状(結膜炎、鼻炎、咽頭炎、皮膚炎、中耳炎、気管支炎、喘息など)、②循環器症状(動悸、不整脈など)、③消化器症状(下痢、便秘、悪心など)、④自律神経障害(異常発汗、手足の冷え、易疲労性)、⑤精神症状(不眠、不安、うつ病orうつ状態、記憶困難、集中困難、価値観や認識の変化など)、⑥中枢神経障害(痙攣、頭痛、発熱、疲労感、光を眩しく感じるなど)

⑦その他障害(運動障害、四肢末端の知覚障害、意識障害など)がある。

(環境脳神経科学情報センターHPより抜粋)